2010.09.23 LED電源を作る時の準備


掲示板でLED電源のことが話題になっています、私の説明が足りないと感じましたので説明を追加します。

@交換しようとしている3端子レギュレータに流れている電流を測定します。
A整流後の電圧を測ります。
B、@とAから必要な定数を決めます。
3端子レギュレータをLED電源に置き換えるにはまず3端子レギュレータにどのくらいの電圧がかかってどれくらいの
電流が流れているかを測定する必要があります。1242-1.5の3.3Vを例に検討してみましょう。
方法はこうです、

1.測定しようとする機器の電源を切ります。

2.3端子レギュレータの出力、この場合一番右の端子を基板から外します。
横着をしないで3端子レギュレータの3本の足全てのハンダを除去して3端子レギュレータごと
外します。

3.3端子レギュレータの一番右の端子を折り曲げて再度基板に差し込んだ時一番右の端子を浮かせる
ことが出来るようにしておきます。

4.3端子レギュレータの一番右の端子が入る基板の方に部品の足の切れ端等で良いので針金をハンダ付け
しておきます。写真参照



5.ミノムシクリップを両端に取り付けた配線で3端子レギュレータの一番右の端子と基板にハンダ付け
した針金に接続します。

6.ミノムシクリップの反対側をテスターの端子にそれぞれつなぎます。いきなりテスターで3端子
レギュレータと針金の間の電流を測っても良いのですが、不安定なので事故を起こさないように
慎重に進めます。

7.テスターの端子を写真の様に電流を測定する端子につなぎかえます。このへんはテスターによって
接続方法が違うのでご自分のテスターの取説を良く読んで接続してください。

8.慎重に接続を確認して接触不良がないかを確かめてから電源を入れます、 CDをPLAY状態にしてから
テスターの値を読みます。この例では31.8mAが流れています。写真参照
CDを止めたまま電流を測ると8mA程度しか流れていません、これでは実際の動作と大きく違ってしまいます。



以上で電流の測定は終わりです。


次に3端子レギュレータの入力電圧(整流後の電圧)を測ります、

1.測定しようとする機器の電源を切ります。

2.3端子レギュレータの一番左の端子とGND間に写真の様に先ほどのミノムシクリップを接続します。

3.ミノムシクリップの反対側をテスターの端子にそれぞれつなぎます。

4.慎重に接続を確認して接触不良がないかを確かめてから電源を入れます、 CDをPLAY状態にしてから

テスターの値を読みます。この例では10.64Vです。写真参照




接続部の拡大写真です。
この例ではミノムシクリップを使っていますが、先がフックの様になっている物を使ったほうがより安全です。






以上で電圧の測定は終わりです。


さて、次は測定した電流と電圧からトランジスタで消費される電力を求めます。

3端子レギュレータの入り口が10.64で出口が3.3Vですのでその差7.34V、得ようとする3.3Vよりかなり高い電圧です。 これがトランジスタで熱となるわけです。

電流は最初に求めた31.8mAですので電力は
W=I×Vより31.8mA×7.34V=233.4mWとなります。 出来ればもう少し整流後の電圧が低い方が良いのですが私が試したトランスの中では
3.3Vに使っているトランスRS品番 278-6829 メーカー名/ブランド名 Nuvotem メーカー型番60010
が良かったです。
本来3.3Vを得るには整流後の電圧が得たい電圧より3V〜5Vくらい高いくらいが理想です

ここに関しては別途説明します。

私が良く使っている2SC2910の許容電力は900mWですので大丈夫なのですが、この値は
無限大のヒートシンクを付けた場合の値ですからあくまで参考程度と思ってください。
233.4Wと言えばほぼ1/4Wですのでばかにできない電力です、2SC2910の大きさからほぼ
限界の電力と言えるでしょう。実際に動作させてみると結構温かいです。


次はLEDto3端子基板を使って実際に3.3Vを作ってみます。

1.まず整流回路を作っておいてそこから3.3V用の電源を引き出してきます。

2.LED電源基板の入力(左側の端子)に整流回路からのプラス側をつなぎ、真ん中の端子にGNDをつなぎます。

3.真ん中の端子(GND)と一番右の端子に写真の様に先ほどのミノムシクリップを接続します。




4.無負荷の電圧を測定します。電源を入れて電圧を測ります。

5.写真の様に3.683V出ています11.6%オーバーしています無負荷では負荷状態と比べてかなり高い電圧が出ています。




6.負荷を接続して負荷ありの電圧を測定します。3.3Vで31.8mA流れるのですから3.3/3.18=103Ωをつなげれば良いことに
なります、丁度手元に100Ω3Wがあったのでこれを使います。I^2Rですから0.0318^2*100=0.1Wですから3Wの抵抗で良いでしょう。


7.負荷を取り付けて電圧を測定します。



8.電圧は3.342V。1.27%のずれですから良しとします、ちなみにデジタル系のICは電源電圧±5%が許容されていることが
多いので3.135Vから3.465Vの範囲に入っていれば良いことになります、実際は電源電圧の変動がありますからもう少し
誤差が小さくなるように追い込みます。

上の方で述べましたがLED電源に使う整流後の電圧としてはどれくらいが適切なのでしょうか。

以下に示す回路図で説明すると、LEDの2.3.4で定電圧を作っていますのでLED1とR2とTr1で作られた
定電流部は2V以上高くなくてはいけません、最低でも2.5Vくらいはほしいところです。3V〜5Vあると良いでしょう。
ベース-エミッタ間に2VのLEDと定電流抵抗が入っていますのでこの分電圧が高くないと正常に
動作しません。


LED電源回路図、

従って3.3Vを作る電源を5V系から取ってしまうとその差1.7Vとなってしまい正常な動作には
なりません。
上記の理由から私は±15V系と5V系、3.3V系に全て別々のトランス、別々の整流回路を使っています。
写真参照、実は結構めんどくさいことをやっているんです。


LED電源の電圧の調整にはLEDの選別、と、私の場合小信号のショットキーダイオードを入れて微調整をしています。
その他に回路図上のR2(回路図上の表記が間違っています、本来は220Ωが正解)を大きくすると電流が減るので
出力電圧が下がります、逆にここの抵抗を小さくすると定電流が増加して出力電圧が上がります。
ここの抵抗で調整しても良いです。

最後に出来上がった3端子toLED電源基板を搭載して確認しましょう。



私がFN1242_1.5を作った時に使ったトランスを紹介します。
±15Vに使っているトランス
RS品番 278-7002 メーカー名/ブランド名 Nuvotem メーカー型番60034

5Vに使っているトランス
RS品番 278-6885 メーカー名/ブランド名 Nuvotem メーカー型番60020

3.3Vに使っているトランス
RS品番 278-6829 メーカー名/ブランド名 Nuvotem メーカー型番60010

です。

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